吉田苑の「いい音」基準


「吉田苑にとって良い音とはなにか?」

常連の方には、「何を今更・・・」と言う感もありますが、評価基準を言いたい砲台や他のコンテンツなどで書き散らかしているので、新規で見られた方には「良い」「悪い」を何をもって判断しているのかが解らないという方もいらっしゃると思います。
ですので改めて前提条件をまとめてみようと思います。

また
「吉田苑が良いと言った機器=皆様にとって良い音がする機器」
とは必ずしも一致しないと思います。

基準の中に皆様の賛同を得れる部分もあるでしょうし、そうでない部分もあると思います。
吉田苑が低評価したからと言って、誤解しないで下さい。


以下の項目はオーディオのスペック用語ですが全て「〜感」を付けて頂いて構いません。
あくまでも聴覚上の話です。


スピード
群遅延特性。過渡特性、等に代表される性能の事です。
信号が入るとすぐ鳴る、信号が無くなったらすぐ鳴りやむ。
当たり前のようですがこれが難しいのです。
隣の部屋で聴いたら隣で演奏しているように聞こえ、近くで聴いてもうるさくなく、遠くで聴いても明解に聞こえる。というような事です。

簡単な実験なのですが、実際手を叩いて音を出してください。
「パン!」と音がしますが、よく聴いてみるとパンっと音が立ち上がる部分は相当速いと思います。
(それを生録して再生すればさらに解りやすいです)

でも実際そのスピードがオーディオ機器から出るかと言われると、まだまだ現実の音のスピードに敵いません。

もちろん原音再生が出来るなどと夢を見てるわけではありません。
また、スピードが速いことは前提ですが単に速ければ良いという訳ではありません。
下記の位相の項目をご覧下さい。

位相
低音域、中音域、高音域のスピードの揃いです。
位相が揃うとステレオでありながらスピーカーの存在が消え立体的な音が出ます。
ステレオで立体音響を目指す吉田苑にとって最重要項目であります。
ですので、いくらスピードが速くても、位相が揃っていなければ意味がありません。
逆にスピードが遅くてもスピードが揃っていれば、評価はしております。

S/N比
カタログスペックのS/N比ではありません。あくまでも聴覚上のS/N比です。
カタログ上で高S/Nであっても音が良いとは限りません。
ノイズの話ですが、ノイズを除去する技術は沢山あります。
(全部とは言いきれませんが)ノイズ除去を行うと、音が死ぬというか篭もったような音になる場合が多いです。
でもノイズは減ってるからカタログスペックのS/N比は良い訳です。

アナログ時代を知っている方なら体験された事があると思いますが
カセットデッキに各社ともノイズリダクション装置と言うものが付いていました。
この装置を使うと確かにノイズが低減されますが、同時に情報量が減り音の開放感が無くなり音が大人しくなった感じがします。

それでもカセット時代は録音をするとノイズだらけで仕方ない感はありましたが今はデジタル時代です。
多少ノイジーでもヘッドホンオーディオやデスクトップオーディオをやってる方以外には気にならないレベルだと思います。
もちろん今のノイズ低減方法はカセット時代とは違いますがノイズ除去
と一緒に生気を失ったようになる傾向は同じく今でもあります。
無理に人の手でノイズを取ってやる行為は実は余計なことなのかもしれません。
我々にとってもノイズが少なくサウンドレベルが高い製品が理想ですが
我々は多少ノイジーでもサウンドレベルが高い製品を評価します。

歪み率
この項目は低ければ低い程良いです。
但し、アンプやプレイヤーの歪値に対してスピーカーの歪は大きく現状の技術ではある程度目を瞑らなければならない項目かもしれません。

周波数特性(レンジ)
レンジが広い事は良い音の条件と思います。
ただし、特にスピーカーは位相と密接に絡む事項になりますが、低音域の音は大抵スピードが遅く、高音は逆に早くなります。
低音の量感を欲張ると位相が狂い、低音だけボヤけたり箱鳴り、音像の出方が不自然になります。
ワイドレンジスピーカーはマルチウェイスピーカーとなりますが、今現在でも位相を揃えるのが難しいです。
ごく少数ながら位相も良く、レンジも広いスピーカーも存在しますが高額です。
しかしそれでも完璧と言うわけでもありません。

一切の妥協を排すならば、超低歪、ワイドレンジ、超ハイスピードで位相もバッチリ揃っているのならば原音再生となると思いますが、中々全てを兼ね備えさせる事は難しいようです。

吉田苑は位相とレンジの二者択一を迫られた時は、位相をとります。

解像度
高ければ良いと思ってますが、好みとも思ってます。
映像の話ですが、昨今ハイビジョン放送にあたって、ハイビジョン対応テレビを購入され地デジ放送などを見られている方は、その高解像度に少なからず感動してらっしゃる事と思います。
反面、ハイビジョン対応テレビで昔録画したビデオを見ると画質の悪さから見るに耐えない体験をなされている方も居られないでしょうか?

オーディオにおいても高解像度であれば、音のリアリティは増しますが反面録音の悪いソースを聴くと録音機材の癖や編集のアラが聴こえてしまい楽しめない事もあります。
もちろん優秀なソースを聴くと恐ろしい程のリアリティある音が楽しめます。

機器の優秀さは高解像度であったほうが優秀と思いますが、音楽を楽しむ
と言う面ではどっちをとるか迷う項目ですね。

音色
一応好みの問題としておきます。
吉田苑は癖の無い音を好みますが無味無臭の音が良いとも思ってません。
吉田苑のおすすめ機器にも厳密の言えばそれぞれ独自の音色を持っています。
某鈴木さんも言ってらっしゃいますが「女と音色は薄化粧ぐらいがいい!」です。
もちろん
「ギターが竪琴のような綺麗な音を奏でる」
「本物を遥かに越える重低音・・・」
は頂けませんがあくまでも音楽を壊さない程度の色付けはあってよい
と思います。

情報量
多ければ多いほど良いと思います。
但し、スタジオ録音のCDからホールトーンがするなど、あるはずの無い情報
が出る機材は頂けません。
情報量はハイスピード高解像度であれば増える傾向にあると思います

見た目
機能性

申し訳ありません。吉田苑の勧める機器がオシャレとは言い難いのは解ってます;;
理想は音が良くて、見た目もよくて、機能性も高くて欲を言えば安いものが良いのですが全てを兼ね備えている機材が中々ありません。音楽を聴く機械である以上、先ずは音質優先です。

メカニズム
基本的にはシンプルイズベストが好きですが、音が良ければでメカニズムには
それほど拘りは無いです。
最新のデジタル技術を使用した最先端機器も、時代遅れだろと言われかねない
アナログでも自らの基準に会えばきっちり評価しているつもりです。
あと、面白いメカも好きです。
コストパフォーマンス
重要ですね。お金を無制限に掛けて音が良いのは当たり前ですから。
また、(ある程度)安いモノの方が構造がシンプルなのでストレートな音が出る機器が多いです。
我々の価値観では高くて複雑な構造や、趣味性の強い構造の機器が良い音であるとは思っておりません。
後書き等
その他まだまだ書き足りない部分もありますが吉田苑の評価基準としては大まかな部分を述べたつもりです。
オーディオは趣肴品であり、また原音再生は出来ないですが、可能な限りリアリズムを追求したいです。

長々と書いてきましたが、ようは目の前でアーティストが演奏していると錯覚させてくれる機材が私たちにとって良い機材であります。

「目の前でアーティストが演奏している。」

言葉にすればただこれだけの事なのですが、オーディオって難しいですね。