SFORZATO DST-01

定価 648,000円 (税込)


SFORZATO(スフォルツアート)社は聞き覚えが無い方も多いかと思いますが、新興メーカーです。
本製品は、ネットワークトランスポートと言う部類になりますが、早い話、最近流行ったLINN DSのトランスポート版と考えて貰うと分かりやすいかと思います。
実はスフォルツアート社の概要は我々も聞いておりませんので、よく分かりませんが(今度、聞いておきます)新興メーカーがこの手のハイテク製品を開発できるのはちょっと凄いメーカーなのかもしれません。

ネットワークプレイヤーの事をご存知無い方もいらっしゃるかもしれませんから簡単に説明すると以下のような構成になります。

DST-01はNAS(ネットワーク接続ストレージ)内の音楽ファイルを再生する機械である。

NASとは、大まかに言えばPCの外付けHDD/SSDみたいなものですが、接続はUSBではなくLAN経由で行います。
ネットワーク上に存在するHDDなので、複数のPCからアクセスできるファイルサーバー的なストレージです。

パソコン→NAS→DST-01の接続は無線or有線LANで接続。DST-01からオーディオシステムへはデジタルケーブルで接続することになります。
ちなみにDST-01は無線LANは搭載されていないので、無線LAN環境に組み込む場合、別途、無線LAN子機が必要となります。

パソコンはCDのリッピングや音楽ファイルをダウンロード、NASへの音楽ファイルコピーに使用します。

ネットワークプレイヤーの最大のメリットは、音楽再生時にはパソコンの電源をONにする必要が無いため、パソコンからのノイズを受けない事でしょう。

音楽ファイルの再生コントロールにはiPod Touch/iPhoneまたは、Windows7のPCが必要となります。

ですので、本機とは別に
パソコン、ルーター、NAS、iPod Touch等が必要となります。

電源と本体は別筐体で構成され、本体側の蓋を開けるとアルミブロックのくり抜きで筐体が作成されています。これは確かにコスト掛かってます。
同軸デジタル端子も見覚えがありますが、恐らくWBT製でしょう。


電源側もトロイダルトランスを3個搭載しデジタルデータ制御部、クロック発信部、デジタルデータ出力部にそれぞれ別電源を配し、徹底的に音楽信号にノイズが混入しないよう作られています。
作りだけみると、この価格でココまで造り込んだ、オーディオ機器は無いでしょう。
もっと高価なハイエンド機でも中々お目にかかれません。


<試聴記>

最近、色々とPCオーディオの可能性を追っかけている吉田苑ですが
パソコンを使ったプレイヤー(PC+DDC+DAC)で鳴らすと、結構バカに出来ないレベルです。
但し、DAC頼みの点は拭いきれず超高音質を狙うと現時点では安価でお勧めできる高音質なDACが無いのでPCオーディオもコストパフォーマンスが高いとは言えませんが・・・
ただ、パソコンを使用したプレイヤーは当店PCオーディオページにも記載しましたが、
パソコンである以上、高音質を狙えば狙うほど、パソコンの高性能さ、汎用性が邪魔になります。
PCオーディオの音質はかなりハイレベルとはいえ、究極レベルの超高音質を狙うなら、パソコンを魔改造するか、素直にネットワークオーディオやメモリーオーディオの方が、理論的には音が良いだろうと言うのが現時点での我々の見解です。

昨今、ネットワークプレイヤーも増えてきてる中、とある常連様より
「スフォルツァートDST-01の取扱いは無いの?」
というお問い合わせがあり、スフォルツァート社にオファーしたところ、お取引頂ける事となりました。、
当店は最近PCオーディオへの検討を重ねている所なので、勉強がてら試聴機も貸出を快諾していただけました。

細かい仕様は上記に譲るとして、スフォルツァートDSTの概要はネットワークトランスポートです。
この手の商品として有名なのはLINN DSですが、LINN DSはトランスポートでは無くプレイヤー(デジタルOUTは有り)の範疇に当たります。
スフォルツァートDSTは飽くまでもトランスポートですから、D/Aコンバーターが必要になります。

スフォルツァートさんは大変親切で、貸出用に本体DST-01以外に、ルーター、NAS(SSD)、iPod Touchまで同梱して頂いていて、接続自体は意外なほど簡単、早い段階で試聴に入れました。
機材はSP:X-RM100 AMP:X-PM10 DAC:PS AUDIO PWD。

iPod Touchでのリモート操作は便利で聴きたいアルバム、曲を簡単にセレクトできます。
使い勝手は良いです。
音源は、借りた状態で既に同NAS内にかなりの音楽データが入っていたのでそれで聴いていましたが、いまいちピンと来ない。もちろん、音質はそんなに悪くはないのだけども、
正直、当店のPCオーディオと大して変わらない。一番気になったのが、スピード感と音離れがもうチョットあれば良いのですが。最初の印象は「60万も掛ける価値はないかなあ」と言う感じです。

しかしながら、本機の作りを見ても、悪い点は見つかりません。
高剛性シャーシ、電源別筐体、高精度クロック、端子類もかなりハイグレードな物が奢られているし、インフラもSSDのNASを有線接続ですから、悪さをする部分が見あたりません。後はケーブルや内部処理の問題だろうか??

色々、探っていると、NASの中の音源ファイルが圧縮ファイルのFLACロスレスだと言う事に気づきました。
実は、以前PCオーディオでFLACロスレス音源は聴いてましたが、吉田苑としてはFLACロスレスの音質自体は悪くないと評価してます。
ですので確信が持てないまま、試しに同NAS内に当店でリッピングした無圧縮のWAV音源を入れてDST-01で演奏させてみると、一変しました。
スカッと冴えわたる切れ味、音離れも申し分ない。音楽を聴いていてノレる。楽しい。
本機に限らずネットワークプレイヤーはいくつか聴いてますが、その可能性の大きさを垣間見た気さえします。
スフォルツァートさんが折角ご用意頂いたご厚意を折る形になって大変恐縮なのですが(笑)、無圧縮の方が良いと思いました。原因は分かりませんがひょっとしてFLACロスレスの圧縮率設定の問題か、DST01のプレイヤーがFALC再生が苦手なのか?と思いますが、残念ながら今回の原因探しをするには時間切れとなってしまったので、検証はまた当店展示機が入荷してから検証してみましょう。

最近PCオーディオや本機を聴いていて、もはやCDプレイヤーは要らない時代が来たのかもしれないと感じることがあります。
確かにCDと同じPCM信号が取り出せれば、可動部分が多いCDプレイヤーは不利である事は否めません。
当店としては、まだまだCDプレイヤーの優越性を捨てきれませんが、ネットワークプレイヤーの先駆けとなるLINNはCDプレイヤーの生産は辞めると宣言したそうですが、本機を聴いていると確かにそんな気持ちになるのも頷けます。音質も十分ですし、沢山のCDをNAS内にひとまとめに出来るのは大変便利である。

惜しむらくは、CDプレイヤーに比べると、機材のセッティングが容易ではない事、PCやネットワークの知識がある程度、必要な事等から全くPCが解らない方には本機はオススメできない。
今後これらが、この手の商品の課題となっていくでしょう。
(とは言っても、PCの知識があまり無い我々でもちゃんと使えましたから、これからパソコンにチャレンジしたい方には、楽しく勉強できる機械でしょう。)