Dynaudioの持つ真実

”デンマーク人は嘘をつかない” いまだにその製品に記されている言葉。
ディナウディオは、現代オーディオシーンに欠かせないスピーカーメーカだと思う。
一時はたくさんのスピーカーメーカーにユニットを供給し、幾多の名器がその恩恵を
こうむった。ソナーズファベルの「ミニマ」をはじめとして、小型でありながら大型に
引けをとらない低域の分解能、描写性、それどころか今までに無かったスピード等が
オーディオの現代化に大きく貢献していると思う。
 いつの間にか他社へのユニットの供給を停止して後、少し不器用だった時代から、
コンフィデンスでその表現力は開花する。大真面目にワイドレンジ、ハイスピードを
狙った、エヴィデンスやテンプテイションを開発しながらもコンスィークエンスをカタログから
外さない姿勢も音楽表現としてのスピーカー作りを標榜している証拠だろう。
コンターシリーズで確固とした中級者への製品を提供し、オウディエンスでは、映像用
初心者への気遣いを見せ始めたころが一つの鳴らし易さのピークであったと思う。
52SE等がその使いやすさに印象が残る。
 今回FOCUSシリーズが少しだけ先祖返りの雰囲気を纏って登場したのが頼もしい。

メディアなどの取り扱いが薄く、露出の点でこれだけ不利なのにもかかわらず、
市場の一角を保持しているのは賢明なユーザーの存在を示している。


Dynaudio SP25
ディナウディオ SPECIAL25は、25周年記念モデル。
素晴らしいコストパフォーマンスは多くのファンを虜にした。現代でも化粧板を
変更した物が販売されていることが人気の証明だろうと思う。
当店でも、久しくリファレンスの座を守り続けている。


Dynaudio
Confidence5
ディナウディオ コンフィデンス5
何人のユーザーを地獄に落としたのだろう。
半端なアンプではふてぶてしくも怠けて何も鳴らない。
FM、ゴールドムンド様(一桁だけに様がつきます)
スペクトラル(小型は除外)等
”アンプ食い”の名を欲しいままの貴婦人。
陰鬱な表情がたまらない人には他に代え難い魅力を持つ。

 1bitの出現が大きくその存在価値を変えた。
たかだか100万円のプリメインでこれが鳴った時は鳥肌が浮いた。


Dynaudio
CONSEQUENCE
ディナウディオ コンスィークエンス
”アンプには覚悟が必要”のフレーズを生み出したモンスター。
しかしながら、このクラスになるとユーザーも経済的な余裕があると見えて
上記の様なアンプやPhantom、300改等、覚悟のアンプと組み合わせて優雅な生活を
送っている物が多い。
 目をつぶって聴いてユニットの数を当てることは不可能。ツィーターやスコーカー
の位置を指さすことさえ、かなり難しい。
機嫌良くなってくれたときのコンスィークエンスは、
まるで超ワイドレンジのシングルコーンのように自然で、なんてこたない。
{なんてこたない}の凄みを聴いた時、あなたはきっと何回払いだったら
買えるだろうと電卓を取り出すだろう。

FOCUS 110,220
ディナウディオ FOCUSシリーズ
随分と鳴らし易くなったなったとはいえ、血脈を引き継ぎ若干の暗さを持ちながら
音楽の魅力を十分に表現する。
この5年間、価格が非常にこなれてきており、
コンフィデンス時代の決断力は不要になったのが、かえって寂しいくらいだ。
使いこなしも非常に楽になり、一般家庭での音楽ファンには勧めやすいのが
物足りない。高級品であった時、お客様に販売するときの、あの独特の緊張感。
その後のアンプ選択の苦悩等、店員とお客様の距離が近くなる、ある意味
いい瞬間だった。今やFOCUSとお客様の間に店員の居場所は狭い。
とはいえ、世の中には情けないアンプも存在するので、アンプ選びには
気をつけたい。

FOCUS 110 名器コンター1.1直系の音楽的表現は現代手に入るスピーカーでは
秀逸。残念ながらスタンドに苦労の予感がする。

FOCUS 220 低域の処理がキモ、小さくともサイズの想像を超える雄大な
スケール感と緻密な情報量。