'97.12.8発砲 / 砲手:吉田

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今回からCDプレーヤーのネタにしようかと思ったのですが、
フェスタ・イン・九州もあったので、新製品ネタを幾つか書こうと思います。

1.ラックスのCD
D-10は、雑誌では既に取り上げられていて、先日店でも試聴したが、最近聴いた一体型CDプレーヤーの中でも非
常に良くできている。レンジは広く、とても素直な音。
最近のラックスの製品は、後から出てくるものほど価格に関わらず音が良くなる傾向があるようだ。
が、鈴木氏のProject D-1には、及ばずと言った感じ。(こちらはセパレートだから及ばなくても当然か?)
2.ウィルソンベネッシュのプレーヤー
なかなかのデザイン。小スペースで価格も36万円と最近のアナログプレーヤーの中ではお手頃。カーボンファイバー
のしっかりしたアームに、リジットなターンテーブルがついて、上級機よりもお買い得。

3.エソテリック P-0
見た目にも精度が高そうで、凄い。会場にはまだ製品が来てなかったのが残念。でも、どうしてあんなデザインなん
だろう?
4.B&W SS-30

デザインもかっこいいし、見た目もきれい。音は、10日に店で試聴する予定。楽しみ。
5.海外メーカーアンプ

ゴールドムンド、FMアコースティック、クレル、エアー、みんな100万円前後の価格帯に集中。ついにあのFMまで100
万円台のパワーに60万円台のプリ登場。やはりこの価格帯を投入しないと商社も苦しいか。

6.クリプッシュホーンのスピーカー

これは、さながら現代に蘇った化石といったところだ。高能率のホーン型と言うことで、アメリカでは今更ながらうけて
いるらしい。

しかしまあ年を追うごとに、国産メーカーのピュアオーディオは、商品的にも物量的にも粗末になっていく。見ていて全
く面白くない。今年のフェスタ・イン・九州は、国産メインと言うことだったのにあれじゃあ...。もう少し頑張って欲し
い。ミニコン主体じゃしょうがないかな。


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砲手:有森

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以前、とある人からこんな話を聞いた。
「福岡なんかであるコンサート(クラシック)を聴きにいくより、ベストの演奏をベストに録音したレコードを、ベストのオー
ディオ装置で聴いた方が遙かにいい。」と言うのだ。その根拠はと言うと、仮に世界一流と言われる演奏家が来たと
しても、それはいわゆる土産周りで、日本の一地方の、しかも音響の悪い会場で、まともな演奏が聴けるわけがな
い、といったものだった。そして彼は、ニューイヤーコンサートの最後を飾るラデツキー行進曲をレコードで聴かせてく
れた。...まあ、一理はあるとして、その時聴かせてくれた音は、演奏はともかく、この説を納得させるにはあまりに
説得力のないものだった。この人は生の音を知らないのでは、と疑わずにはいられなかった。かわいそうに、この調
子だと彼は、最近生演奏というものを聴いていないのだろう。しかしそうなると、オーディオをチューニングする時、彼
は一体何を基準にしているのだろう。

自分は、やはり生の演奏は大事にしたい。それが別にいい演奏、いい音響じゃなくてもやはり生の演奏には触れる
べきだと思う。オーディオなんか全く興味のない人が音を聴いて、それが、そこで鳴っている音か、スピーカーから出
ている音か、すぐに判別がつくのは、やはり生音の持つ音の鮮度だと思う。そしてその鮮度こそが、オーディオのチュ
ーニングの基準になると思う。

オーディオが好きな方、好きなときに、好きな演奏が、好きなだけ聴けるのは、オーディオの最たるメリットだと思いま
すが、どうか生の演奏も聴くようにしてください。時間も制約され、その場所へわざわざ出向かなければならず、まし
てや出費を強いられ、大変な努力が必要だとは思いますが、そこで得るものは必ず何かあるはずです。オーディオを
より良い音で聴くために...。

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'97.11.10発砲 / 砲手:吉田

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30万円以上のアンプ

あまり区切りすぎて、アンプのところだけで1年位かかりそうなので、とりあえずアンプ編は今回で終了。

・国産有名メーカー

まずLUXMAN。C-10、C-9、B-10、M-10、M-7。
真空管のシリーズは良いと思わないが、石のシリーズは充実していると思う。特にM-10、これがいい。BTLモノラル
で使えばB-10以上、シングルではB-10より音が若い感じだが、ストレートな感じが良く出ている。価格から言えば非
常にお買い得。

他に国産アンプを探してみるが、さっぱりといった感じ。
まあ無理矢理挙げるならば、ACCUPHASEのP-700。このメーカーのアンプの中ではダントツによい。最も、昔からの
ACCUPHASEファンにこの音が良く聞こえるかどうかは分からないが...。

・輸入品

GOLDMUNDのSR Pre、Power、Mono、MIMESIS 2+、MIMESIS 8.4。
ハイスピードな音では輸入品中トップクラス。特にMIMESIS 8.4は、日立往年のMOS-FETを使用している最後のモデ
ル。このデバイス、雰囲気があるんだよね。

FM ACOUSTICのFM255、411。
低域はGOLDMUNDよりも少し多く感じる。非常に端正な音。

SPECTRAL。
当店での取り扱いはないが、非常によいアンプである。

EARのEAR861。
真空管ながらレンジは広くダイナミックレンジも良好。

・国産ガレージメーカー

DEVELOPMENT&TECHNOLOGY LABORATORYのPA-01、LA-01。
略してD&TLは、新しいブランド。紹介記事が、オーディオアクセサリーの冬号か春号に出るとのことなので、詳しくは
そちらを参照してもらいたい。ここの商品は緻密で繊細。特にプリアンプのLA-01は凄いの一言。こんな音のプリアン
プは聴いたことがない。

ZAIKAの????
真空管アンプメーカー。試聴した製品の型式は不明。かなりの製品数がある。B&Wの801S3のウーファーがピタッと
止まる。見事な鳴りっぶり。真空管アンプでこれほど鳴った801S3聴いたことがない。しかしどこが販売しているの
か...?主宰の方は真空管の世界でかなり有名らしいが...。

他にも面白そうなものはあるんだけど、今回はこのくらいにしておきます。

しかし、最近はガレージの方が全体的に面白い製品が沢山ある。店でいろいろ試聴してても、超弩級品ばかりの有
名メーカー品より魅力を感じてしまう。大手の中にもセンスのいい人はいるのだが、メーカーのカラーに無理矢理塗り
替えさせられたり、社内的な女々しい嫌がらせにあったりしてて製品が思ったように出せない。まあ「出る杭」を持っ
ているメーカーはまだましか。センスを持った人がいないメーカーがほとんどなのだから。


 

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'97.11.8発砲 / 砲手:有森

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今回は、先月デビューしたディナウディオのCONTOUR 3.0について。

CONTOURシリーズ初の3ウェイとして昨年CONTOUR 3.3がデビューして、今までのCONTOURよりさらに音の見通し
がよくなり、本当に位相の揃った3ウェイのメリットをひしひしと感じた。しかし、ペアで100万。ユーザー層は限定され
てしまう。

そこで、かどうかは定かではないが、CONTOUR 3.0の登場。ペア70万。
30万の値段の差で一番大きく変わったのは、ウーファーだ。3.3と比べると、お世辞にもいいユニットとはいえない。が
しかし、さすがはスピーカー作りの達人、とてもバランスよくまとまっている。低域も、変に膨らむことなくとても自然に
のびている。抜群のチューニングセンスだ。3.3の音の見通しの良さもちゃんと持っている。ボーカルものなどは、とて
も気持ちがいい。
アンプは3.3も選ばない方だったが、3.0はさらに選ばず鳴らしやすい。トータル的にみて、CONTOURシリーズで最も
使いやすいスピーカーではなかろうか。

この価格帯のスピーカーは、国産でも輸入品でも変なスピーカーが多い。「この価格でこんな音?なら下のクラスの
方がまだいい」というようなのばかりだ。その点これは、投資した分の価値をしっかり持っている。
このスピーカーに限らずディナウディオのスピーカーは、どれもそうだ。これは当たり前のことなのに、他のメーカーは
それができていない。これが業界の冬を呼ぶ最たる原因ではないのか?
メーカーのみなさんには、自社製品をもっと冷静に評価した上で市場に出していただきたい。商社のみなさんは、恥
知らずな製品を輸入するのを是非ともやめていただきたい。春の到来のためにご協力を。

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'97.10.10発砲 / 砲手:吉田

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今回は、前々回の続きです。

10万円以上30万円未満のアンプ(セパレートも含む)

・国産有名メーカー品

ここにきてやっと評価のできる商品が登場。LUXMANのL-503s、L-507s。
今のラックスの良いところは、ハイスピードで、位相管理もこのクラスの中ではかなりしっかりしている。

勘違いして欲しくないのだが、「ハイスピード」という言葉を聞いて、音が硬いと思われる人もおられるようだが、位相
のしっかりした信号処理の早いアンプほど、大音量で聴いてもうるさくないし、小音量で聴いても音のつぶれることが
少ない。
逆に、位相管理が悪い物になればなるほど、スピーカーとの相性を云々いわなければならなくなり、さらにはCDまで
相性の良いものを探さなければならず、おまけにユーザーに、必要以上のノウハウまで要求する。
そこまでやっても、普通の音になる保証もないので、当店ではこのような粗悪なアンプはお勧めしかねる。

しかし悲しいかな、大手はこの手のアンプばかり世に送り続けているのだ。

・輸入品

前回の続きのような商品群が多く、グレードが多少あがってくる物もあるが、逆に価格から考えると食い足りなくなっ
てくる。

ちょっと違うのが、真空管アンプが多くなること。中でも良さそうなのは、ソニックフロンティアのアンセム。真空管のプ
リメインだが、見た目以上にまじめな作りと音。

セパレートでは、現在試聴中の物を含めて、プリ、パワー、セットで本領を発揮する物が多く、セット30万以上の価格
になる物が多いので、次回にしたいと思います。

それにしても少ないなぁ。

・国産ガレージ・メーカー

47研究所、#4706ゲインカード。
超ハイスピード。デザインも独特。かっこいい。音もかっこいい。(ホントかっこいいという言葉がよく似合う。)何ともいわ
せぬ魅力のアンプだ。設計の木村氏のセンスの良さに感心。

私がオーディオに、初めてどっぷり浸かったきっかけとなったのは、A&EのDCA-100や150Mとの出会いだったが、こ
のときのインパクトは強烈な物だった。47研究所のアンプとの出会いは、その時のインパクトによく似ているなぁ。

ゴールドムンドとかFMアコースティックとかの音の切れは、どちらかというとサーベル的だが、#4706のそれは日本刀
の切れ味か。ともかく日本にもこんなアンプがあるというのは嬉しい限り。その上価格はG/MやFMの1/10以下。イチ
押し。

余談になるけれども、もう少し雑誌も真面目に商品評価したらいいのになと思う。自分の知る限り、真面目に評価を
書いた評論家が干されたりしているし、大嘘とまではいわないが信用できる評価記事が少ない。当店も雑誌に広告
を載せているため、お客様から相談のお電話をいただくことが多いが、その内容は、評論記事のせいかあまりにもか
わいそうなものが多い。
雑誌としては安くはない価格の出費を強いられ、その上妙な知識を植え付けられたのではお客様が気の毒だ。
どうにかならんのかなぁ。
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砲手:有森

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47研究所のアンプの存在は、ずいぶん前から知ってはいたものの、実際に音を聴く機会がなかなか無かった。写真
と製品紹介の文面から、気になるアンプの一つだったので、今回の機会はとても嬉しいものだった。ただ、最近期待
に胸を膨らませ、いざ聴いてみるとがっかりされられるものが多かったので、(勿論Project D-1はその中には含まれ
ません)なるべくテンションを下げて聴くことにした。このときの組み合わせは、トランスポートがTEACのVRDS-T1、
DACは鈴木氏のProject D-1、スピーカーはディナウディオのCONTOUR3.3、ケーブルは全てAC DESIGNだ。

噂に違わず確かに速い。ゴールドムンドやFMアコースティックも確かに速いが、それとはまた違う。より、リアリティが
ある。凄い。そして何よりも、とても静かだ。これは単にS/Nが良いというだけでなく、信号の減衰(立ち下がりなどとい
う人もいるが)が速いからだろう。そのおかげで、無駄な音がいつまでも残らず、この静寂を作り出すのだろう。

だんだんテンションが上がってきた。
いろいろ聴いてみて、ついにピアノ曲のCDを聴いてみることにした。お見事。スピーカーからあのピアノのアタックが
聴けたのは実に嬉しい。久しぶりに真面目にCDまるまる1枚聴いてしまった。

このアンプのコンセプトは、回路をできる限り短くし、またコンデンサーも小さくしその分電源トランスに依存するもの
だ。おお、これはまさにゴールドムンドと同じではないか。ん?しかし、値段が全然違うぞ。#4706を聴いた後では、
MIMESIS8.4が聴けなくなってしまったから、まともに太刀打ちできるのはMIMESISの9クラスということになってしま
う。となるとその価格差は...。

「スピード」の代名詞を47研究所に書き換えなくては。


 

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97.8.15発砲 / 砲手:有森

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この秋デビューのD/Aコンバーター、marantz Project D-1を聴いた。とても生々しい音だ。「これだけ再生してくれた
ら、アーティストも本望」という程、歌や演奏のニュアンスが伝わってくる。歌においては、マイクとの距離や歌手の表
情、演奏においてはその場の緊張感や呼吸(ピアノに関して言えば、ハーフペダルの微妙な加減具合、ハンマーの
弦への当たり具合や、堅さ、質感といったハンマーのコンディションといったものまで)などが恐ろしいほど聞こえる。
16bitはもう限界とおっしゃる方がいらっしゃるが、単にこのフォーマットを使いこなせていなかっただけだということを、
このDACは証明してくれる。今まで、音や録音が良くなくて、ちゃんとしたシステムでは逆に粗が見えて聴けないとさ
れていたCDも、このDACの「スケーリング機能」を使って16bitをフルスイングさせると、実際聴けるようになる。これは
とても嬉しいことだ。オーディオを追求していくと、それまでは単純に演奏の良い物やアーティストでCDを選んでいた
物が、録音や音の良いCDを選ぶようになってしまいがちだが、このDACだとそういうこともなくなる。まさに、音楽を聴
くためのDACだ。
オーバーサンプリングや、ハイビット化が進む中で、16bitに正面から挑んでその成果を見事に音にした最初で最後
のDACかもしれない。


 

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97.7.10発砲 / 砲手:吉田

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前回さぼってしまいました。すいませんでした。
当店は、入門者も多く、手頃な価格の商品が欲しいのですが、探してみると、欲しい物が無いというのが現状なので
す。
今回からしばらく、入門者用に価格を決めて、商品別に考えてみることにしました。

10万円前後のアンプ

・国産有名メーカー品

物量投入型、ハイパワーで仕上げは立派。よくこれだけ作れると感心するが、音の方はいただけない。全体的にいえ
るのは、位相管理が甘い、立ち上がりが悪い、音がかすむ、音場が狭い、と言った具合でいいところがまるでない。
どんなスピーカーをターゲットにしているのか、ユーザーがどうゆう使い方を望んでいるか考えた商品が無い。八方美
人で的が絞れない。

・輸入品

ガレージメーカーが多いためだと思うが、国産と比べると、物量、パワーともに劣る。が、変に欲張ったところがないの
で、質的にはそこそこだ。小型スピーカーを鳴らすには良さそうだ。イギリスの商品がほとんどで、ここは「バジェットハ
イファイ」という言葉があるお国柄なので、的を絞って使えばよいが、それ以上は要求できない。

・国産ガレージメーカー

キットがほとんど。真空管アンプが多い。作る楽しみはあるが、音は作る人の腕次第。動作の最低限度保証をうたう
メーカーが多いが、入門者には...。

こうして見てみると、国産は皆無、輸入品で MUSICAL FIDILITYのE10、CREEKの4240、ARCAMのAlpha7ぐらいにな
ってしまう。低次元だ。.....PHILIPSのLHH-A200はいいアンプだったなあ。


 

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砲手:有森

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鈴木氏の復活という朗報が入ったのはいいが、商品化するのはD/Aコンバーター。アンプは出てこない。出てくる予
定もないという。なんと言うことだ!CDやDACも無論大歓迎なのだが、アンプが出ないとなると復活の喜びも半減し
てしまう。
氏の作るアンプは、NECのA10の頃からそうだが、BTLアンプである。BTLアンプは、他にもいろいろ存在するが、氏
のアンプのように安定感のある音をだすものは無い。本当にリラックスして音楽を聴くことができるアンプだ。こんなア
ンプを作れる日本人が他にいるだろうか?
女々しい意地悪などしないで、氏にアンプを作らせてもらいたいものだ。


 

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97.6.9発砲 / 砲手:有森

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PHILIPSのLHH-A700、A200の完売に伴い、このクラスの面白いアンプが、なくなってしまった。寂しい限りである。某
社の、「大人のアンプ」と評される物があり、クラス的にはマッチするので一応聴いてみたが、やはり...。とても正
相で鳴っているとは思えない程、音離れの悪い、眠たい音だった。「大人」というよりも、「老人」といった感じだ。また
しても、ミニコンで十分ということになってしまう。そもそもメーカーは、ミニコンのコストパフォーマンスを甘く見すぎてい
るようだ。価格だけは、ミニコンの何倍もするのに、音はといえば、それだけの差を出せている物は微々たる物だ。そ
んなレベルで商品として出してくるのだから、厚顔無恥もいいところだ。自慰的、自己満足的な物を作って、自らのブ
ランドイメージを下げるようなことは、そろそろやめてもらいたいものだ。
しかし、こんなものでも、評論家先生の美辞麗句に飾られたら、きっと売れるんだろうなぁ。


 

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97.5.13発砲 / 砲手:吉田

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最近、面白い日本製品がないと思っていたら、マランツブランドで、鈴木 哲氏の復活である。非常にうれしいことで
ある。
現在、日本の大手オーディオメーカーは、内容がチープで、販売目的のみの商品や、趣味の世界とはかけ離れた商
品ばかりを作っている。面白い物や良い物となると、ガレージ的な小さなメーカーの物ばかりだ。海外製品の最近の
増え方をみると、一目瞭然である。規制緩和などと言えば聞こえはいいが、早い話が、日本の製品に力がないので
ある。ここに、鈴木氏の復活である。当店のポリシーの一部を担う人で、氏の作る音は、本当に楽器の音を知ってい
る者しか出せない音だ。店のポリシーが、最近混沌としがちの中、これを機会にはっきりすればよいと思う。
7月にはイベントを企画してますので、時間のある方、興味のある方には是非、来ていただいて、オーディオの楽し
さ、音楽の楽しさを、気軽に感じ取ってほしいと思います。


 

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砲手:有森

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だんだん、雨の多いうっとうしい季節が始まる中、皆様のオーディオルームの湿度対策はいかがですか?
先日、とても古い日本家屋のお宅にJBLのスピーカーを納品しました。当日は、お客様もご満悦で無事に帰ってきた
のですが、何分古いお宅で湿度が高いので、「湿度管理はされた方がいいですよ」と言って戻ったのですが、やはり
しばらくたって、「最近、低音が重たいんです。」と連絡がありました。
ピアノもそうなのですが、輸入物に関しては、当然産地の湿度との関係が音に大きく影響します。このお宅のように、
湿度の低いアメリカ産のスピーカーで、しかもユニットの素材の大半が「紙」ともなると、本当に湿度を管理しないと、
まともに動くはずがありません。
このケースに限らず、音を奏でる物のある部屋の湿度は、まず50%は超えない方がいいでしょう。いつも良い音で聴く
ことの基本として、部屋には、除湿機を入れましょう。


 

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97.4.12発砲 / 砲手:吉田

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4月の5日、6日でアナログを含めた試聴会を行ったからではありませんが、今回はアナログカートリッジの話を少々。

ご来店された常連さんが、カートリッジを探しに来られたが、薦められるカートリッジが無いのです。この常連さん、大
変なロックファンで、なおかつライブが大好きな人なのです。従って、ライブの音も良く知っていて、必然的に今のオー
ディオの音は、小綺麗過ぎて満足もいかず、今まで古い針をだましだまし使っておられていました。で、色々探したの
ですが、やはりフィットする物が無く、新製品に希望を託して今回も見送ることになりました。

アナログは、CDに比べて針で大幅に音を変えることができますが、その針ですら最近まで残っている物や、新しい物
を聴いてみると、大半は音の綺麗な針ばかりで、ちょっと違うとすればオルトフォンのSPUだとか俗に言うオーディオフ
ァイルが欲しがるような針ばかりしか残っていません。昔話のようで、ちょっといやですが、アナログ全盛の頃は、サ
テンのM117だのグレースのF-10だの、結構安価でも、ロックを鳴らせばギンギン、ジャズを鳴らせばバシバシで、も
ちろん現在のように品や情報をきちんと出す物もありましたが、現在とは音の善し悪しは別にして、かなり個性的な、
やかましい針からおとなしい針まで、多種多様で、ハマルと音楽が楽しい針が多かったと記憶します。

アナログブームとはいっていますが、なんか物足りません。もう少し、個性的なカートリッジが出てくると楽しくなるの
ですが、そう思うのは、私だけなのでしょうか?


 

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97.4.8発砲 / 砲手:有森

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CDがこの世に出てから10数年経ち、何枚のCDがプレスされたのだろう?そしてその中で、正しい位相でプレスされた
物がどれだけあるだろう?なぜ逆相のCDが出続けるのだろう?
と言うわけで、今回はCDの位相の話です。

話の前に、念のため「逆相のCDって何?」と言う方のために補足しますと、どうゆう訳かプラスとマイナスが入れ替わ
って記録されたCDがあるのです。この様なCDを正しく聴くためには、わかりやすいやり方として、スピーカーのプラス
とマイナスを差し替えて聴くと正しく聴けます。どうゆうことかお解りですね。つまり、逆相のCDをそのまま聴くと、当
然の事ながら、スピーカーの動きが通常と全く逆に動くわけです。もちろん音は出ますが、音場が全く広がりません。
立ち上がりも鈍くなります。

ラジカセや、デスクトップのミニコンならこんな事気にする必要もないのかもしれませんが、オーディオとなるとそうはい
きません。一部のCDプレーヤーやDACには、「インバート」とか「ポラリティ」や「フェイズ」と言うスイッチがあり、これで
位相の切り替えができるので、わざわざスピーカーの端子の差し替えをしなくても済みます。また、プリアンプにもこ
の機能の付いた物があります。が、いずれにしても一般的にはこの機能は殆ど付いてません。ところが実際、逆相の
CDの多いこと。店に、試聴盤として300枚ほど国内外、多種多様なメーカーのCDを置いていますが、その中で実に
半分近くがが逆相なのです。実に困った物です。
CDのメーカーは、もっと位相管理を徹底してもらいたい。そして、オーディオメーカーも、この現実を直視して、位相の
反転機能を一般化してもらいたい。

意外とご存じない方が多いので、今回この話を取り上げました。一度お手持ちのCDをチェックしてみて下さい。本当
に逆相が多いです。


 

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97.3.15発砲 / 砲手:吉田

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前回、屋内配線について話したが、悲しい結果に終わってしまった。パワーアンプのトランス鳴きの原因が、外から
の引き込み線だった。どうも、湿度や温度変化などでトランスが鳴ったり鳴らなかったりするようで、引き込み線を見
てみると、緑青は吹いてるわ、線は黒ずんでるわ、外皮は固まってるわ、どうしようもない。結果ここを変えれば一発
で止まりそうなのだが、いかんせん借家と言うことと、家主さんとの諸事情で変えられず、お手上げとなってしまった。
唯一の救いは、この方、新築のご予定がおありだそうで、そこまで何とか我慢なさると言うことで落ち着いた。
 ここは、極端な例でしたが、決して今の電気事情はよくないので、みなさん注意しましょう。


 

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97.3.7発砲 / 砲手:有森

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最近の新製品を見ていて、ひとつあきれることがある。サイズである。今に始まったことではないが、ハイエンドの商
品と言えば、やたらとデカイのが多い。日本の住宅事情で現実的にオーディオをするとなると、場所をとらず、小音量
でも質が落ちない物が要求されると思うが、この、「質が落ちない物」があまりに少ない。例えばアンプは、質を追求
すると電源周りを固めることになり、トランスもしくはコンデンサーがデカイ物になるので、すぐデカくなってしまう。はっ
きり言って、デカくていいのは当たり前なのだから、メーカーはそろそろ小型で質の高い物を創って欲しい。もちろん現
行品で小型高性能の名を打った物もたくさん存在しているが、殆どがメーカーの自己満足に終わってしまっている。こ
の価格でこの程度の音ならミニコンで十分と言うのが、正直な意見だと思う。実際、ミニコンが売れている要因の一
つはこれだし、ユーザーが、このレベルで妥協せざるを得ない程、選択肢が少ないのだ。かつて、国産オーディオが
幅を利かせし頃、オーディオを趣味としておられた方も多かったが、メーカーがあまりに非現実的な商品を作り続けた
ため、多くの人が影を潜めてしまった。この、 眠れるオーディオ・ファイル達の魂を蘇らせる為にも、ニーズにあった、
本当のミニコンを創って欲しいものだ。


 

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97.2.9発砲 / 砲手:吉田

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お宅のブレーカーは、古くなっていませんか?
最近非常に困った話があった。先日、あるお客様に GOLDMUND のパワーアンプをご購入いただいた。ところが、コ
ンセントに差し込むと、アンプのトランスがぶーんぶーんと鳴くのだ。そこで、電源ケーブルを変えたり、壁コンセントを
新しいのに変えたり、 CSEの電源まで持ち込んでみたが、徒労に終わるばかり。じゃあアンプの不良かと思い、店で
チェックし、メーカーサイドでもチェックしたが異常はなかった。お客様もやるだけやってだめだったし、諦めがついたよ
うで他の商品と入れ替えることになり、いくつかの候補の中から、 AYRE のパワーアンプを家で試聴していただい
た。ところがまたしても、トランスが鳴いた。このアンプの場合、電源トランスの前にアイソレート用のトランスが入って
いるにもかかわらずである。これはもう電源そのものが悪いとしか思えない。まともな電源波形が来ていないのだろ
う。そこで診てみると、屋内の配電盤がかなりくたびれていたので、とりあえず今回は、ブーレーカーを交換することに
なった。結果のご報告は次回として、おたくは大丈夫ですか?こちらのおたくの場合は特殊な例だと思いますが、最
近は、電源部のコンデンサー容量が小さいアンプが多々あり、それ故にこの手のアンプは電源からのノイズが乗りや
すく、一般家庭用の電源などは、ノイズの固まりと言っても過言ではなく、我々オーディオを趣味とする者にとっては
頭の痛いところです。


 

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砲手:有森

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某メーカーが昨年、ある商品を限定で発売するということで、春頃から予約の受付を始めた。この商品はたいそう人
気で、メーカーの予想を大きく上回るほどの受注がきたようだ。ところが、待てど暮らせど商品が入ってこない。年を越
えた今日に至っても、部分的には納入できているようだが、完納にはほど遠い。欲張って、限定台数よりも多く受ける
からだ。なんのための限定なのだろう。挙げ句の果てに、年末お詫びの告知を雑誌に載せる始末だ。4月には消費
税も上がるようで、それまでにはメーカーも間に合わせようと必死なのだろうが、どうなる事やら...。これで間に合
わなければどうするのだろう。とりあえずメーカー社長としては、責任を問われるべきだろうが、まあ何にしても、欲の
張りすぎは命取りと言う事だろう。ああ南無三。


 

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97.1.7発砲 / 砲手:吉田

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最近試聴したスピーカーの話。
この頃、下取りの古いスピーカーをよく耳にする機会があり、ふと思ったことがある。例えば、ALTICの612Cを久しぶ
りに聴いた。これは、同軸の2ウェイで「マンタレイ」と呼ばれるホーンドライバーを搭載しており、多少荒っぽいのだが
中域のスピードは今のスピーカーには無い程速い。アンプに依存せずに、ライブコンサートで聴くあの中域を出してく
るのだ。まあ決して音がいいスピーカーとはいえないが、少なくとも一芸には秀でている。なぜに現代のスピーカーで
このスピードを持った物がないのか。アンプに依存して鳴るモデルもあるが、アンプも限られるしそんなスピーカーも限
られる。オーディオを始めてかれこれ20年近くになるが、最近のスピーカーは簡単にそこそこ鳴るくせに追求しだすと
鳴らなくなる。面白くない、底の浅い物が多い。だいたい、ハイファイだのピュアだの、言葉に踊らされたカスのような
商品が多すぎる。メーカーも、技術的に進んできているのだから、現代の評価レベルに沿って、もう少しインパクトの
ある物を創って欲しい。


 

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砲手:有森

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当店にも様々なお客様がお越しになるが、その中で「ご自分の耳はお持ちですか?」と問いたくなる方がいらっしゃ
る。「雑誌でよく書いてあったから」とか、「人に勧められて」等、評価の材料の一部にしか過ぎないことに重きを置い
て機材を選ばれる方だ。こうゆう方の殆どが、この手の材料に振り回されて、変な買い物をしていらっしゃるようだ。最
も、「所有欲のオーディオ」といいうやつで、「よい」と言われる物を持つことに喜びを感じる方なら何も問題はないのだ
が、音を追求するとなるとドツボにはまってさあ大変。出てくる音に納得できないまま買い換え続ける事になってしま
う。いと哀れなり。趣味というのは、あくまで主観に基づいたもので、人がどう言おうと自分が好きだからやるといった
ものだと思う。だから、機材を選ぶときも、「聴き比べても違いがよくわからない」とか、「いい音なのかどうかわからな
い」などと言わずに、自分の好きな音かどうかで判断して欲しい。店も様々あって、その店のポリシーに基づいた音で
鳴らしているのだから(ポリシーも持たずに商売のみに走っている店も多々あるようだが)そこで鳴っている音が好きか
嫌いかで選んで 欲しい。もっと自分の耳を信じて欲しい。 「汝の五感を励起せよ」。


 

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96.12.9発砲 / 砲手:吉田

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オーディオ雑誌のメーカー紹介記事、広告を読んでいて、最近ちょっとおかしいと思うことがある。某メーカーだが、高
価なオーディオシステムを販売しているのに、「音楽は心で聴くものであって、楽器の音色、定位、アタック等の善し
悪しで聴くものではない」という。確かにそうではあるが、しかし、これらの要素を否定するならオーディオの必然がな
くなってしまう。つまり、この様な聴き方をするならば、ラジカセで十分だし、ましてやそんな高価なシステムを売る必
要は全くないのである。オーディオの必然を追求するならば、定位、アタックといった要素をきちんとクリアした上で、
初めて音楽に耳を傾けるのがオーディオの王道と思う。これを無視して、演奏や音楽が心地よく聞こえるのであれ
ば、音楽をモディファイしているに他ならない。こんな事をして、高級シスコンを売るメーカーはなくなるべきだし、販売
店でもアンティークな物を売るのが趣味と言えば別だが、そうでなければ、そんな店には良心がないのである。こん
なものは、百害あって一利なし。


 

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砲手:有森

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「オーディオが趣味」といっても、その趣味のあり方にはいくつかのパターンがあると思う。


1.音楽が好きでそれをいい音で聴きたいが為にオーディオをする場合。


2.システムの構築(セッティング、チューニング、改造等)で音を自分好みに変えていくことが楽しくてオーディオをす
る場合。


3.「あの時代のあのアンプが欲しい」とか、「XXXのYYYは持っておきたい」といったような、機器そのものに魅力を感
じてコレクター的にオーディオをする場合。

と、大きく分けてこのくらいではなかろうか。そこで、今回砲台の的になるのは「3」のパターン。まずこの場合、往々に
して音は二の次であること。まあ、それを承知の上で「でもあの音が好きだ。」と割り切っている方には好感が持てる
が、今の耳で聞かずに当時のイメージに縛られ、それを信じ切っておられる方にはご愁傷様としか言いようがない。
更にひどくなると、メーカーそのものに縛られ「このメーカーのアンプじゃないとだめだ」と言うのや、最悪は、一つのメ
ーカー以外すべて否定する場合だ。これはもう宗教以外の何物でもない。この様な、狂信的な人々がいる限り、つま
らないメーカーが生き残り、粗大ゴミにしかならないものを作り続けるのだろう。自分が切に願うのは、この様な方々
に一日も早く解脱していただいて、まっとうなオーディオ人生を歩んでいただきたい。これにつきる。