2013.9.15 発砲 吉田

 ここのところ気になるアンプを借りて聴いています。
今回は、B.M.CのCS2、ともかく見た目にカッコの良いアンプで、色々と売りの文句も多いアンプです。
このあたりのデザインセンスと回路の売りのうまさは、今の日本の製品には殆ど見かけませんし、海外品のうまさ全快と言った感じです。
 切れ、スピード感は、アナログアンプの中でも速い方です。音質はゴージャスでメリハリがはっきりしています。




2013.8.29 発砲 吉田

 お電話で数件問い合わせを頂いた、ROTELの新型多機能アンプ RA-1570(248,000円/税別)を試聴しています。
大変多機能な機種で、アナログ入力はもちろん、同軸、光の通常のデジタル入力はもちろん、iPhone、iPod、iPad、PC-USB、USBブルートゥース、USBフラッシュドライブと多彩な入力を誇る多機能アンプです。
アナログ入力でphoneのMC入力とデジタルのUSBでDSDに対応していないくらいで、今時の欲しい入力はほぼ網羅されたアンプです。
期待される方も多いと思います。


 
 まずは、ベースのプリメインアンプ部を聴くために、普通にアナログ入力を聴いてみました。プレーヤーは同じROTELのRCD-1570です。
出力も程ほどあり力もありますが、RCA、バランス入力ともに全体的にはゆっくりした音調で刺激的な音は出しません。
次にデジタル入力です。RCD-1570ではゆっくり、ゆったりとした音調になりましたので、SOULNOTEのct1.0からRA-1570のデジタル入力にダイレクトに接続します。
多少、がっちりした音が出てきましたが、ct1.0の持つ本来の音数が再現されません。PC-USBも同様の傾向です。
ある程度整理して、聴きやすく音を出してくるタイプの様です。下位モデルのRA-1520でも同様の感じを受けましたが、ROTELのプリメインアンプのシリーズは同社のセパレートアンプとは傾向が違います。
セパレートを聴いてこのアンプの音をイメージすると違いますので、傾向の違うアンプとして捉えた方がいいでしょう。



2013.6.30 発砲 吉田

 FOSTEXから好評のGX100MALimitedモデルが発売になりました。
展示も入りましたので、オリジナルのGX100MAと比較試聴しました。
 まず、見た目に変わったのは、黒のピアノ塗装になった事、下にボードがついた事です。随分と高級感が増しました。
ユニットはウーファーが変わっています。アルミニウム合金のウーファーから、純マグネシウムのウーファーに変更されています。
GX100MAからの主な変更点は、以上の3点の様です。
下のボードを除いた、サイズ、スペックは見比べた限り同じです。
 さて実際に並べて試聴してみました。
第一印象GX100MAに比べLimitedの方がややすっきりした感じになります。
GX100Mは、サイズとしては低域を欲張らず、バランスよくまとまったスピーカーです。
位相もしっかりしていますし、音離れの良いスピーカーですが、キャビネットの塗装の違いか、ボードが効いているのか、
limitedの方が高域の伸びがよく、比較するとGX100MAに少しにじみを感じます。
中低域も、よりタイトに聴こえます。ウーファーの素材の違いでそう聴こえるのかどうかは判断つきかねるところですが、ウーファーの素材の差による鳴り方の違いは、実のところ微妙と感じました。

 更に鳴らしこんでみると、徐々に情報量の差が見えてきます。Limitedは情報量がGX100MAに比べ多く、GX100MAより細かな表現が見られます。
音場の広さは、大きく差異は見られません。ニアフィールドでは更に差は感じられないでしょう。
 総合的に見て、基本的な音調は同じですが、Limitedの方が、すっきりした印象と情報量の多さは感じました。
気になったのは変化のわりに価格の上昇が大きいので、
GX100MAに比べてお買い得感が後退した事です。
Limitedの完成度が上がっているのは間違いありませんが、この金額になると、さすがに20万近辺の価格帯は強豪が揃っていますし、GX100MAをより良く鳴らす選択肢もあるかと思います。
もちろんコストパフォーマンスだけではありませんが、もう少し上昇幅を押さえてもらうと、良かったのではないでしょうか。


2013.5.26 バイト君発砲

 2007年の、スタッフコラム「店長大後悔日誌」以来、久々のバイト君の登場です。
バイト君も当時より少し大人になりました。
 今回は、バイト君のお友達がアンプを買うと言う事で、機種選択をかねて自宅試聴をしてネタにしてもらいました。
久々なので、少し力を抜いた感じですが、今後徐々にエンジンがかかるものと思われます。

 「アンプ、ちゃんとしたの買いたいんだよね」という友人に「いくらまで出せるの?」と聞いたところ10万強、という答え。
オーディオマニアではなく、普通の音楽好きに出せる金額はこれが上限でしょう。とは言うものの、この価格帯、
吉田苑ではNmode X-PM2FとSOULNOTE sa3.0という2強が答えとして出てしまっていて、
しばらく真面目に音を聞いていなかった。アンプの掘り起こしの意味でも改めて低〜中価格帯の比較試聴を行うことに。
吉田苑扱いの実売15万までのアンプ……というか吉田苑にたまたまあった展示機を強奪し、自宅で一度総ざらいしてみました。
スピーカーには47研究所 #4347を使用。
 
SOULNOTE sa1.0 105,000円(定価)
 低域方向の量感を求めないのであれば、微細な表現を求めるだけであればもうこのアンプでいい。
SNのよさ、滑らかさは同価格帯では突出している。発売当時の吉田苑の記事を見るとしきりに「スピードが!」と言っているが
(悪いクセである)、そこまで極端なスピード感、切れ込みは感じない。むしろあるべき音があるべき姿で再生されているイメージ。
#4347の滑らかさをよく生かしてくれるアンプだ。加えて言えば鈴木氏のMarantz Pro時代のホットさは既にほとんどど感じられない
(多少の薄化粧はあるが)。ニュートラルな音色のアンプと思う。サウンドステージはそんなに広いとは思わないが、必要十分。
 スピーカーは選ぶ。以前、B&W CM1で鳴らしたらなぜか散々だった記憶がある。#4347との相性は普通か。
ただし小口径フルレンジと相まって低音は物足りない。
 鮮烈で三次元的なステレオイメージを再生してくれるという意味で相性がよかった記憶があるのはFOSTEX GX100、
今はなきDYNAUDIO FOCUS110、そして当然SOULNOTE sm1.0。一概に4Ωは鳴らしにくいから駄目、能率が低いと駄目、
とも言えないのが難しいところ。

ATOLL IN100se 162,750円(定価)
 中高域の粗さと低域の盛ったような量感は否めないし空間表現は狭いのだが(特に高さが出ない)、
じゃあ音が悪いのかというとそこまでは言いづらい――というのは無印のIN100を聞いているからかもしれない。
 というか、このアンプはそういう性能的な部分はあまり欲張らず、弾むような中低域、ちょっと鼻がかったようなボーカル、
余韻が後まで残るピアノといわゆる美音系の楽しさを味あわせてくれる部分が評価ポイントだろう。
とはいえ例えば同じフランスでもYBAほど個性的な音というわけでもなく、むしろ英国系に近い音作り。
こういう音が好きだと言われても否定できない音は出している。スピーカーとの相性はあまり考えなくてもそつなく鳴らしてくれるアンプだ。

Rotel RA-1520 128,000円(定価)
 中低域は出ているほうだが、伸びない最高域、楽器が拡散したような定位の悪さ。色々と大味で甘い感じがするが、
これが米国ではウケるのだろうか。
 もっと大型のスピーカーを大音量で鳴らすときに使ったほうがよい結果がでるアンプだと思う。
それともB&Wと組み合わせたらよい結果が出るのか? Krellなんかもそうだが、恐ろしく相性の良し悪しが出るアンプというのは存在するため、このRA-1520もその類と思われる。ROTELはパワーアンプの素性がいいと聞いているので、個人的にパワーアンプRB-1592を聞いてみたい。

LUXMAN M-200(パワーアンプ) 134,400 円(定価)
 友人のリクエスト品。パワーアンプだがボリュームもついているので単体でも使えないことはない。
本来ならばDACプリであるDA-200と組み合わせて使うものだと思われるが、今回は単体でのレビュー。
 主にSOULNOTE sa3.0との比較で言えば価格差もあるため低域のスピード感、チャンネルセパレーションは及ばないものの分解能、
音数は価格を考えれば十分満足できる。エコー成分も強調しないほうだが、さすがにsa3.0に比べれば多い(というかsa3.0の表現が極端にストレート)。量感は多少、ほんの少しパワー感の演出で盛った感触はあるものの無意味に弾ませるほどではない。
ある程度スピード感を保持しつつ量感を調整したという印象だ。多少線の太い表現をするが、それが滲みや甘さにつながっていない。
最近のLUXMANらしく真面目に作りこまれており、お手頃価格のパワーアンプが欲しければ――特にX-PM1のご購入をお考えの方は是非一度聞いてほしいアンプだ。
 4Ω、6Ω、8Ωとインピーダンスマッチングができるのもよいところ。というかインピーダンスの設定があっていないと明らかに詰まった音になるので注意されたし。BTLモードもあるが、今回は試していない。

SOULNOTE sa3.0 168,000円(定価)
 以前、トラ技でIRS2092というPWMアンプ用のICチップを特集したことがあったが、sa3.0はこの石を出力段(電力増幅)に使用した上で電圧増幅段はお得意のNon-NFBディスクリート。いわゆるアナログアンプとD級アンプのいいとこ取りをしているという謳い文句はわかるようなわからないような……なのだが、兎にも角にも音はいい。特に音の出だしの静寂感と、中高域の滑らかさ、生々しさ、そして低域のドライブ感と、両立させることが難しい要素を丁寧にまとめている。極端にリバーブがかかっている感じが少なく、音が混濁しない。また切れ込みを強調して粗さを感じるアンプも多いが、音数が多いため実にスムース。ストレスなく音楽が再生される感じはなかなか他のアンプでは聞けない。欲を言えば駆動力がもうちょっとあれば……というところだが、それも数十万のアンプとくらべての話。
 定価168,000円(税込)と今回聞いた中では最も高額ではあるので褒めたくなるのも当たり前なのだが、実は比較試聴の途中でsa3.0があんまりにもいいので、手持ちのNmodeのX-PW10(定価330,000円(税込)と聴き比べをしている。結果はといえばあまり言いたくないが、駆動力以外は性能的な部分において同レベルと言っても差し支えない。滑らかさのsa3.0、切れ込みのX-PW10というところか。スピーカーによってはもっと差が出る可能性もあるが、#4347でならばどちらを使っても遜色ない。


 こんな感じでした。本当はMarantz、DENONといった国産のメジャーブランドも試聴する予定だったのですが、sa3.0で友人の結論がある程出てしまったため試聴会もおひらきに(面倒くさくなったとも言う)。友人はといえば案外、アンプで差が出るもんねとご満悦でございました。
 LUXMAN M-200が聞けたのは存外の収穫。……が、47研 4736とNmode X-PM2Fを聞くのを忘れていたりと肝心なところが抜けてます。今今回は47研究所 #4347というちょっと風変わりなスピーカーを使いましたが、各々のアンプの傾向は普段の印象と変わりません。吉田苑では日々、様々なアンプを聞いていますのでよい製品があればドシドシご紹介していきます(店長が)。
 ネタもないから次回はクリーン電源の比較試聴でもやろうかなあ……。

2013.5.6 吉田発砲

 引越しも終わりまして、新店舗の営業も落ち着いてきました。
GWも今日が最終日ですが、予想に反してGW期間中、大変多くのお客様にご来店いただきました。
ありがとうございます。

 新店舗での懸案事項として残されていました、試聴室の調音も、昨日、今日とかなり見直しまして、
新店舗の営業から一昨日までと比べると、随分環境的に聴ける様になりました。
前の店舗の音が良かったので、耳の良いお客様からは、前の方が良いとご指摘を受けていたところですし、
自分自身納得がいきませんでしたので、昨日今日と時間が取れて室内の調整が出来たのは良かったです。
まだまだ完全とまでは行きませんが、また時間を取って環境整備をしていきます。
今後の製品選びのご試聴、試聴会、プチ試聴会は、より分かりやすくなったと思いますので、更にお楽しみいただけると思います。

 新店舗になりまして、メジャーメーカーの展示もすこしずつ展示を増やしております。
最近展示で入ったのはESTERIC I-05K-05B&W 805D802DLUXMAN DA06MARANTZ NA-S11等々、
常時試聴可能ですので、気になるものがありましたらお気軽にご来店ください。

 さて今回の砲台の本題ですが、Nmodeのフラッグシップが未だ出ないのと、さすがにSharpSM-SXの三桁シリーズ
(特にSX100SX200)は修理にかなりの時間を要す様になってきました。
特にSX100は、商品的に古くなり後継モデルを探す方のお問い合わせも多くなっています。
 
何とか替わりをと思っていましたが、現行のNmode1bitの最上モデルであるX-PM10は、音質そのものの質は高いものの、
当時100万したSX100と比べると、価格もそうですが、出力が小さく、低域の馬力感はSXの三桁シリーズに比べ乏しい印象があり、
その為に質感は高いもののX-PM10をあきらめられる方も沢山おられました。

今回発売になったX-PW1(パワーアンプ)も、低価格帯で馬力はX-PM10よりも高いものの、
質はX-PM10には追いついていませんし、価格からすれば出来は良いのですが、さすがにSXの三桁の後継にはなりません。

 そこで昨日、試聴室の調音中にふと思いつきまして、吉田苑ではその昔にNECA-10XPHILIPSLHH-A700
Mrantz Proで昔よくやっていました、BTL接続を試してみました。


(X-PM10を2台用意)


まず、X-PM102台用意し、CDトランスポートにct1.0DACsd2.0を準備、そのままではBTL接続が出来ませんからケーブルも作ります。
カプトン線を使用した、sd2.0側がXLRX-PM10側はRCAのアンバランスとバランス出力のケーブルを作りました。

sd2.0側はXLRで接続、X-PM10は二台(左右)ともに1番のRCA入力のL側にバランス、R側にアンバランスを接続します。
スピーカーターミナルはLR両方ともに+側を使用します。


(アンプ側接続図)


スピーカー側接続図

 さて接続も終わり、スピーカーを決めます。
なんと言っても、まずはドライブがどの程度できるかを確認するために比較的大型を使用します。
現在当社のリファレンスはTIDALPiano Ceraですが、あいにく客先に出張中で使えません。
今回は、B&W802Dを使用してみました。
れから、預かりものですが、SharpSM-SX1005.6MD-Clock付)がちょうど店頭にありましたので、
SM-SX100との比較も同時に行いました。


(Sharp SM-SX100)


(SM-SX100+802D)



アンプにSM-SX100を使用しB&W802Dを接続。

CDSOULNOTEのct1.0sd2.0Bのセットで、普通にバランスケーブルで接続します。
曲は低域のグリップ感を見たいので、定番のマーカス・ミラー M2を使用。
 さすがに10年選手とは言え、しっかりとしたドライブ力があります。

かなりの音量を出してもしっかりグリップしますし、古さを感じません。
 次にアンプ部分をSM-SX100からX-PM10 二台(BTL)に変更して同じスピーカー、CDDACです。

(X-PM10二台+802D)



まず気になる音量です。
理論値ではSX100まで出ないものの、少なくとも自分にはこれ以上は耳が痛いところまで大音量が出ています。
実効出力はそこまで高くは無いのでしょうが、少なくとも単体のX-PM10以上の音量は確保できています。
肝心の力感、馬力です。
先のSM-SX100と同じくらいの大きな音量にします。
その上で低域の力感を比べましたが、全く引けを取りませんし、ややSM-SX100をも上回る力感と
低域の伸びと厚みがあります。
少なくとも今までX-PM10で唯一弱さを感じていた、低域方向の弱さは感じれません。
元々中高域のクオリティの高いアンプなので、ハイスピードで切れとグリップ感のある中低域に、
力感の伴った最低域まで延びるしっかりとした低域がつけば鬼に金棒です。
SX100と比べても更にスピード感があり、位相がそろい、空間が広く取れます。マーカスのベースが超ハイスピードな切れ味です。

2台使用することで、セパレーションも良好です。
 同様のパターンで、スピーカーをDYNAUDIOC1SignaturFOCUS260(中型のトールボーイ)に替えて、
SM-SX100X-PM10 二台(BTL)を比較しましたが、結果はB&W802Dを鳴らしたのと同様の結果となりました。

(X-PM10二台+FOCUS260)

 更にFUNDAMENTALLA10を使用してのBTL接続も行いましたが、元々X-PM10PW10)単体でもLA10を繋ぐと更に見違える様に
レンジ、S/N感、エネルギー感の高まる組み合わせではありますが、これならSM-SX300と比較してもいいかなと思える程のリアリティが出ます。
LA10を繋ぐのと繋がないとでは、更に低域の厚みが変わります。
静寂で細部までしっかり出てきます。まるでハイビジョンの様です。
見えすぎて嫌な方も居られるかと思いますが、音楽に真っ向から向かい合いたい方にはお勧めできると思います。
位相、スピード、空間の三拍子が本来の吉田苑の目指す音です。

ちなみにこの方法でX-PW1SEも繋いでみました。
オリジナルのモノラルモード、RCA入力の2台使いとも比較しましたが、BTL接続の方が良かったです。
馬力も上がりますし、実態感も増します。
今回のBTL接続に関しては、灯台下暗しです。目からうろこで大正解となりました。
SM-SX1002ヶ月間(7月末まで)は店頭にございます。
常時店頭で、X-PM102台)と比較いただけますので、是非ご確認ください。

2013.2.11発砲 吉田

新店舗に移転前、9年間お世話になった店舗での最後の発砲となります。

移転前に滑り込みで、Nmodeの最新型DAC X-DU1の製品版の最終試作機を聞くことが出来ました。
随分と待たされてしまいましたが、ようやく発売になるようです。



10万前後の主力で販売していました、SOULNOTE sd1.0 が製造完了となり、
この価格帯に大きな穴が出来たところへ、ありがたいタイミングでの発売となりそうです。
発売時期ですが、2月末から3月頭になるそうです(本当に大丈夫か?)

最近流行りのDSDが再生できるDACという事で、まずはDSD再生をやってみました。
まずは店頭のWindows7、Windows8を使い、再生ソフトはFoober2000で、
DSDネイティブ再生で5.6Mhzまで再生出来ました。
DSDネイティブ再生はDopを推奨しているようで、ASIOはサポート外とのことでしたが、
Windows7、Windows8ともに普通に再生は出来るようです。

ハイレゾ音源やDSD音源のような、CD以上の情報量を持つソースを再生させると、
CDとは違う空気感の再現性です。
元々このメーカーの製品は、音場の表現が広く、奥行きも良く出ますが、
より緻密により広い空間を表現出来ています。
広い空間表現と空気感は、最近のDSDを再生できるDACの中でもかなりよい方ではないでしょうか。
それから今回のDSD再生とパワーアンプのX-PW1でも感じましたが、最近のNmodeの商品の特徴としては、
中低域から低域にかけての量感とスピード、質感が上がっています。
量感がありながら締まって躍動感のある低域から中低域が魅力で、これは意識的にやっている様です。

次にX-CD1をトランスポートにしてCDを再生してみました。
sd1.0とは音色は違いますが、滑らかな質感を持つ粒子の細かな再生音、CD再生の場合でも
DSD再生と同じく、従来のNmodeに通じるクールな部分も残しながら、中低域から低域にかけての
量感とスピード感、躍動感が程よくあって、従来から得意な奥行き方向だけでなく、
前に出る音は音としてしっかり展開するようになってます。

機能面では、リアパネルに固定と可変出力の切替があり、可変出力にすればDACプリとしても機能します。
バランス出力、RCA出力どちらでも可変が可能で、パワーアンプX-PW1を繋げばコンパクトなシステムで
細かな音量調整も可能ですし、デスクトップオーディオから、単体DACとしても十分な能力を持っていますので、
汎用性の高い機種に仕上がっています。



見た目に大手製品に比べると仕方ないところはありますが、地味にMade in japanですし、
音の完成度は高いので、今のところ10万前後のDACとしては、最も良く出来たDACと言っていいでしょう。

定価は89,800円(税込)の予定だそうです。
販売価格は8万円前後になるかと思いますが、最初の生産台数は50台と少ない為、
正式な発売日が決まり次第ご予約を受け付けたいと思っております。

2013.1.25発砲 吉田

今年最初で、久しぶりの砲台です。

 引越しも近く、店内も随分整理されてきましたので、今は移転後に置く商品の選択に入っています。
従来路線のSOULNOTEFUNDAMENTALNmodeDYNAUDIOはもちろんですが、何か面白いものがないか、
現在、気になるものを借りたり、メーカーの売り込み商品を聴いたりして、すこしずつですが、次の店舗で扱う商品を
決めている最中です。
 
今週は数社のアンプ、CDを試聴しました。

MARANTZPM-11S3SA-11S3、タンジェントのプリメインアンプEXEOROTELのセパレートアンプ、プリメインアンプ、
CD
プレーヤーと試聴しています。
MARANTZPM-11S3SA-11S3は、あちこちで書かれていますので、あえてここで当社が取り上げる必要もないでしょう。

 まずは、タンジェントのプリメインアンプEXEOは、見た目、作りは価格なりでしたが、音の方は実売、5万円台のアンプとしては、
比較的CPは高い方です。

レンジはこのクラスとして普通、電源がスイッチングの為、自重が少し軽いのが気にはなりますが、全帯域が比較的整理されて、
嫌な音はだしませんし、
やや落ち着いた音で扱いやすいアンプに仕上がっています。少し低域が膨らむ傾向にありますが、小型の比較的タイトなスピーカーに
合わせるにはちょうど良いくらいの感じです。
モニターオーディオのラディウスシリーズや、DYNAUDIOでもDM2/6あたりの小型を聴き易くならすのには使えます。
リモコンが使え、多入力でフォノ入力もありますので、入門機としては良いでしょう。

 そして、今回おもしろかったのは、ローテルの商品でした。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
大変古いメーカーで、当時から高級機と言うよりも、普及機のイメージが強いメーカーです。
私が聞いてたのが30年以上前の話ですし、現在どのような商品を出しているのか、音はどうなっているのか興味のあったメーカーです。


RC-1580とRB-1582)

特にセパレートで、RC-1580RB-1582の組み合わせが意外な程良かったのですが、ローテルのホームページを見ても中身の
情報が殆ど無いので、メーカーさんの許可を得て、興味津々でプリアンプのRC-1580の中を覗いてみました。
覗いて見ると一枚基盤の上にすべての回路が組まれています。
ラインアンプ、フォノイコライザーともに基本ディスクリートで組まれ、出力段もTO-126タイプのトランジスタを使用してあり、
電流もしっかり流せてる様で、オーソドックスな配置ですが、しっかりした回路が組まれてる様です。
各ステージの電源周りもパナソニックの低ESRのコンデンサーと、整流部の処理を見ると電源のインピーダンスも低く抑え、
トランスもしっかりしたトロイダルを積むなど、気を配った作りになっています。

機能的にもリモコンが使えますし、フォノイコラーザーもMM/MC対応で、ヘッドホンの出力もありますので、
扱い勝手の良いプリアンプに仕上がっています。




(RC-1580内部画像)

 次にパワーアンプのRB-1582は、こちらもオーソドックスな作りで、かなり大きなトロイダルトランス(1KVA位)と15,000μFのコンデンサーが
4本と大型の電源部を装備しています。
パワートランジスタはチャンネルあたり5パラで、左右で20個使用と大出力アンプになっています。
片チャンネルあたり200Wの出力があります。

 さて肝心の音質ですが、プリ、パワーセットで聴くと、普通に良い音が出ています。
上下のレンジもしっかりありますし、高出力、大型パワーアンプにありがちなもっさりした感じもありません。
パワートランジスタもチャンネルあたり5パラと、通常トランジスタを多用しているとにじみもありますが、そういったにじみも感じませんので、
かなり練られた感じがします。
このクラスのアンプの中でも、メジャーメーカー品と比較してもS/Nは大変良好です。
小音量時のS/Nも良好なので、小型の2ウェイに合わせても大味にならず、小型から大型までかなり安心して使える、対応幅の広いアンプに
仕上がっています。
 帯域的にはフラット、音数もしっかり出ています。中低域、低域と締まって低域方向の解像度もしっかり取れていますし、適度に弾みます。
当社の主力メーカーと比較して、スピード感はやや劣るものの、聴き劣りするレベルではありませんし、オーディオメーカー国内メジャーの商品と比べても、
ハイスピードで空間も広く、非常にリニアに伸びてるアンプといえます。
何より大出力型の割には、小音量でも比較的細かい音が出ますし、鳴らしにくいスピーカーでもゆっくり鳴らせる駆動力には魅力があります。


(RB-1582内部画像。4本の大きなコンデンサーの中心に大型のバスバーが配置されているのが印象的。)

生産国は中国ですが、設計、ヒヤリングは国内の様です。
使用部品は国産含め、価格以上の物が使われていますし、しっかりヒヤリングされて作られているのがよく分かる商品に仕上がっています。
見た目は価格なりの仕上げに見えますが、フロントパネルサイドのアルミ無垢の支柱は贅沢な感じで、装備、内容を考えると
非常にコストパフォーマンスの高いセパレートで、これはお勧めできると思います。

 あとROTEL商品に関しては、CDプレーヤー RCD-1520とプリメインアンプのRA-1520を試聴しました。
CD
プレーヤーのRCD-1520もセパレート同様、良い結果でしたが、CDのローディングメカがこのクラスのCDプレーヤーとしては
惜しいところです。
ただそれを除けは、セパレートアンプに通じる作りと、良質な音質のCDプレーヤーです。
価格を考えると非常に良い商品と言えますし、現在、当社主力だった、CDプレーヤー、SOULNOTEsc1.0NmodeX-CD1
生産完了でありませんので、CDプレーヤーをお探しの方にはお勧めのCDプレーヤーです。


(下、RCD-1520、上はX-CD1)

 プリメインアンプのRA-1520に関しては、期待したのですが、残念ながらレンジ、S/Nと締りが感じられず、ちょっとセパレートの様にはいかな
かったなと言う感じです。